職場でもプライベートでもコミュ力が高い人は、周りの人から信頼されます。周囲から信頼を得ることで、仕事を円滑に進めることができるようになり、職場での評価も高まります。
コミュ力が高い人は、生まれつき性格が良いとか、話が面白いとか、そういうことでコミュ力を高めているわけではありません。
コミュ力というのは、テクニックの使い方で決まります。テクニックを身につければ、ある程度のコミュ力は身につけることができるのです。
この記事では、コミュ力を劇的に向上させるテクニックを紹介します。
バックトラッキング
会話テクニックの1つにバックトラッキングというものがあります。バックトラッキングとは、相手の話を繰り返しつつ軽い質問をすることで、会話を続けるテクニックです。
例えば、次のような感じになります。
A「昨日、残業して家に帰ったのはかなり遅かったよ」
B「残業したんだ。何時まで残業してたの?」
A「9時まで。もうくたくただよ」
B「9時まで残業して疲れたんだ。一人で残業していたの?」
A「えーっと、チームリーダーと俺の2人。リーダーが苦手なんだよね」
B「チームリーダーと残業したんだ。残業ってどんなことやってたの?」
A「俺は資料作りで、リーダーは何か別の作業」
B「資料作りやってたんだ。パワポで資料作ったの?」
A「うん、パワポだね」
この会話のBさんがやっているのがバックトラッキングです。相手(Aさん)の言ったことをオウム返しのように繰り返しています。
さらに、会話を続けるために質問もしています。質問といっても難しい内容である必要はありません。5W1Hのような基本的なことを適度に聞くようにすると効果的です。
バックトラッキングをすることで、相手は自分の話をしっかりと聞いてもらえているという安心感や信頼感を抱くようになり、コミュニケーション相手に対して好印象を抱くようになります。
コミュ力というと、自分から話すということをイメージされがちですが、バックトラッキングのように聞き役に徹することで、相手に良い印象を持ってもらえるようになります。
自発的特徴変換
自発的特徴変換という用語があります。これは、会話の中で登場した人物の印象が、話している人の印象に置き換わるという現象です。
つまり、その場にいない誰かを褒めることで自分の好感度を上げることができるわけです。
会話の中で誰かを褒めれば、褒められた人の高感度はあがります。そして、自発的特徴変換によって、褒めている人の高感度も上がるのです。逆に、誰かの悪口を言えば、悪口を言っている人の印象も悪くなってしまいます。
話している相手に抱いて欲しい印象があれば、他者にその印象を抱かせるように褒めます。
例えば、次のような感じです。
A(優しい人だと思われたいなぁ・・・)
B「今日の通勤電車めっちゃ混んでたわ。他の路線が遅れていたみたいで、その分こっちの路線に乗り換えたんだろうね」
A「座れた?」
B「いや、ムリだった」
A「たまに同期のCと一緒に乗ることがあるんだけど、Cが席を譲ってくれてさ、まじ助かったわ」
B「へぇ、Cっていいヤツだな」
優しい人だと思われたいなら、誰かに優しくされた経験を具体的に話しましょう。そうすれば、話している人も優しい人だと思われるのが自発的特徴変換です。
コミュ力が高い人は人の悪口や愚痴を言いません。むしろ、他人を積極的に褒めて、結果的に自分の評価もあげていることが多いのです。
人の悪口ばかり言っている人が周りにいたら、誰だって嫌ですよね。他人を褒めまくって、コミュ力を向上させましょう。
自己開示
コミュ力の高い人の特徴として相手の話を聞くのが上手ということがありますが、適度に自分の話をすることで、さらにコミュ力を高めることができます。
自分のことを話すことで、相手に親近感を持ってもらうことができます。つまり、二人で同じ情報を共有するという状態を作り出すことことで、相手との距離を縮めることができるわけです。
バックトラッキングは会話テクニックとして非常に効果的ですが、相手に質問ばかりする状態になってしまっては逆効果です。適度に自分のことも話しましょう。
聞き:話し=7:3くらいの割合の会話の中で、3割の部分で自分のことを話してみましょう。今話している話題に絡めて、相手に興味を持ってもらえるようにわかりやすく話します。
自己開示は質問ばかりしてしまう人にとって特に重要です。質問ばかりされた人は、まるで尋問を受けていると思ってしまって、相手に警戒感を抱いてしまいます。このような時に自分の話をすることで、相手の警戒感を解除することができます。
ハロー効果
ハロー効果というのは、その人の一部の印象によって全体の印象が決まってしまうというものです。
では、具体的にはどうすれば、ハロー効果を有効に活用できるのでしょうか。それは『笑顔』です。笑顔といってもニコニコしているということではなく、相手に嫌な印象を与えないように、優しい感じの表情をするというくらいのものです。
コミュニケーションというと会話だけだという考える人もいますが、表情やジェスチャーといった言語以外のコミュニケーションもあります。こういったものはノンバーバル・コミュニケーションと言われていて、実は人はノンバーバル・コミュニケーションで相手を判断することの方が多いのです。
笑顔によって相手に良い印象を与えることができたら、相手はその人の全てを好きになってしまい、多少の短所は気にならなくなるでしょう。
名前で呼びかける
コミュ力が高いと思われている人は、相手を名前で呼んでいます。相手を名前で呼ぶことで、好感度が良くなります。
人は自分の名前に興味があり、名前で呼ばれることで相手に興味を持たれてると感じます。自分に興味を感じている人には好感を抱きやすいのです。
話しかける時に、「あの、ちょっと~」というよりは「○×さん、ちょっと~」と言った方が好感度が高まります。
ただし、あまりたくさん名前で呼びすぎると、しつこいという印象を与えてしまいます。最初に話しかける時や、話題が変わった時など、話のキリが良い場面で名前を呼んだ方がいいでしょう。
では、良い例とダメな例を紹介します。
良い例)
A「斉藤さん、今日の会議のことなんだけど~」
B「あっ、はい。わかりました」
ダメな例) 名前で呼んでない
A「あの、今日の会議のことなんだけど~」
B「あっ、はい。わかりました」
ダメな例) 名前を呼びすぎている
A「 斉藤さん、今日の会議のことなんだけど~」
B「あっ、はい。わかりました」
A「斉藤さん、資料ってできてるよね?」
B「はい」
A「斉藤さん、お昼休みが終わったら~」
名前を呼ぶ時は自然な感じになるように調整しましょう。
YES/NOで返せる質問をする
なんて答えればよいかわからない質問は相手を困らせます。デートの誘いのようなプライベートなことから、新規プロジェクトの立ち上げ会議のような場面でもそうです。
例えば、「次の日曜空いてる?」のような聞き方では目的が明確でないため、相手がいろいろと考えてしまい、結果的に相手からきちんとした返答が得られない場合があります。
目的が明確でない質問をされると、相手はどう答えてよいかわからないまま、返答を先送りしてしまうのです。具体的にはメールを返さなかったり、LINEの既読スルーのようになります。
もちろん、常に目的を明確にして会話をすることは逆効果です。雑談などの何気ない話は結論をだす必要がないので、バックトラッキングのような感じで会話を続けていけばよいでしょう。
ただし、明確な目的がある場合には、目的が相手に伝わるように質問をする必要があります。
例を紹介します。
良い例)
A「次の日曜日、映画に行かない?」
B「え、何見るの?」
ダメな例)
A「次の日曜日、ヒマ?」
B「う~ん・・・」
相手にはしっかりと目的を伝えましょう。
ストーリーを伝える
何事も理屈詰めで話す人はコミュニケーションが上手だとは思ってもらえません。人間は感情で判断する生き物です。理屈だけでなく、感情的に納得できる理由がなければ話を円滑に進めることは難しいでしょう。
例えば、プレゼントを渡す時に、どうしてそのプレゼントなのか、そのプレゼントを選ぶプロセスはどうだったのか。これらのことをストーリー仕立てで話すことができれば、相手にとても喜ばれるでしょう。
また、仕事でもストーリーは重要です。特に、BtoC向けのマーケティングでは、大勢の消費者に納得して商品を購入してもらう必要があります。「○○は肌に良い」というような理屈だけでなく、その商品を使うことで得られるメリットをストーリーとして展開した方が消費者に理解されるでしょう。
さらに、就活の面接でもストーリーで説明することは効果的です。たんに「○○がやりたいので志望しました」というよりも「学生時代に○○な経験をしまして~、御社の××に非常に共感して~、□□だから志望しました」のように、自分の経験を踏まえながらストーリーを語ることで聞いている方の納得感が増します。
テクニックの磨き方
これらのコミュ力向上テクニックをどのようにして磨けばよいでしょう。一番効果的なのは、コミュ力が高い人を観察して真似をすることです。
仕事でも勉強でもすでに成果をだしている人の真似をすることは非常に効果的です。コミュ力に関しても同様です。職場でコミュ力が高いと思われる人の言動をチェックして、良いと思ったことを取り入れてみましょう。
その際、なんとなく真似をするのではなく、具体的にどんなテクニックを使っているのかを意識して観察しましょう。そして、この記事で紹介したテクニックのどれをどんな風に使っているのかを考えてみましょう。
すでにコミュ力が高い人を観察してそのテクニックを真似することで、成長のスピードは高まるでしょう。