どうも、古物商ブロガーのX(えっくす)です。
1つ前の記事で『しょぼい起業で生きていく』の感想を書いたんですが、この記事ではしょぼい起業が失敗する理由を詳しく書いていきたいと思います。
別に著者のえらてんさんのことが嫌いなわけではなくて、むしろYouTubeやブログは面白いと思うんですが、この『しょぼい起業で生きていく』は無理ゲーなんじゃないかと思ったので、言いたいことを書こうと思います。
特にリサイクルショップの話は「んっ!」って思うことがあるし、全体的にあやふやな印象を受けたので、細かい点に注目して書いていきたいと思います。
この本の目次は↓のようになっているので、順番に見ていきます。
- 第1章:もう、嫌な仕事をするのはやめよう
- 第2章:「しょぼい起業をはじめてみよう」
- 第3章:「しょぼい店舗」を開いてみよう
- 第4章:「協力者」を集めよう
- 第5章:しょぼい店舗を流行らせよう
- 第6章:「しょぼい起業」実例集
第1章は普通の内容
第1章はサラリーマンが無理な人向けに、「就職しなくても生きていける」という価値観が書かれています。
これについては、特におかしなところはありません。
変にサラリーマンをdisっていない点は評価できるんじゃないかな~と思いますね。
某ブロガー/インフルエンサーなんかとは違って好感が持てます。
いじわるな見方をすれば、しょぼい起業をせざるをえない人は、すでに就職を諦めている人がほとんどだと思うので、サラリーマンをdisる必要はなかったという印象です。
イケハヤ先生なんかは会社に不満を持っている若者をメインターゲットにしているので、サラリーマンをdisる必要があったんでしょう。
第2章はぎりぎり納得の内容だけど…
第2章は簡単に言えば、
- しょぼい起業の考え方の紹介
- 生活と商売を結びつけることで継続しやすくなる
ということです。
飲食店をやれば食費が浮くとか、そういった話です。
この辺の話は理屈としてはわかるんですが、飲食店をやっていても食費をすべてカバーすることは無理ですよね。
リサイクルショップで家電を自分で使えばいいという話も、実質的な生活コストの節約にはなっても、家電なんて頻繁に必要になるものじゃないから、最初の1回しか役にたたないと思うんですよね。
でも、まぁぎりぎり納得の内容という感じです。
第3章からしょぼい起業は”しょぼく”なくなります
んで、第3章でしょぼい起業の方法論が語られます。
- 開店には大金は必要ない
- 店舗に住めば自宅の家賃がいらない
みたいな話ですね。
これら以外にもいろいろと書いてあるんですが、賛同できるのは最初の「開店には大金は必要ない」ということくらいです。
程度にもよると思いますが、店舗に住むというのは厳密には契約違反になると思うし、全体的に具体性が足りない印象なんですよね。
この本はえらてんさんのしょぼい起業の経験をベースに書かれた本だと思うんですが、売り上げの具体的な金額や利益なんかの話はほとんどでてきません。
えらてんさんは在学中に起業していろいろやっていたらリサイクルショップが当たったと書いていますが、初月に不要なものを売ったら40万の売り上げになったという話だけで、その後の業績については具体的な数字がでてこないんですね。
豊島区でリサイクルショップをやっていたら、月商40万じゃキツイと思うんですが、どうでしょうか?
『成功』とか『うまくいった』ということの定義は人によって違うのかもしれませんが、月商40万から家賃や光熱費や仕入れ原価やその他経費を引くと、多分20万も残らないと思います。
新卒の初任給にも満たない月収が成功なんでしょうか。
この辺の具体的な数字については非常に疑問が残ります。
それと、3章では「投資してもらえる人」とか「あなたが商品」みたいな話がでてくるんですが、これってハードル高くないですか?
確かにお金はかかりませんが、就活に失敗した学生が「投資してもらえる人」になるとか店舗の顔としてやっていくというのは、かなり難しいのかな~と思いますね。
そういったことができる人であれば、就活に苦戦はしないと思いますね。
再現性という点では疑問が残ります。
第4章のようなことができないから就活失敗してんだよ!!
第4章では、協力者を集めるための方法論が書かれています。
- 「ただしいやりがい搾取」で無償で働いてもらう
- 「ノンストレス」な環境で無償で働いてもらう
まぁ、「理想としてはわかるけど…」って話ですよね。
繰り返しになるけど、こういったことができるコミュ力と人間力がある学生は就活に失敗しません。
人を動かすのって一番難しいですからね。
それと、どれだけ継続性があるのかが疑問です。
無償でやってもらえることは『やっていて楽しいこと』だけなはずで、商売をしているとどうしても嫌な仕事もでてきます。
でも、こういったことについてはこの本では触れられていないんですね。
リサイクルショップをやっていたと書かれているけど、商品の仕入れや陳列なんかは肉体労働だし、無償でやってくれる人がいるとは思えないんだよね。
友人や親戚に頼めば、1~2回はやってもらえるかもしれないけど、継続してやってもらえるのは無理でしょう。
リサイクルショップで成功したというのなら、具体的にどの作業を無償でやってもらっていたのかを書いてもらえるとわかりやすいんですけど、そういったことは書かれていなくて、理想的な方法論のみが書かれています。
第5章ってネット芸人になるってのと同じだよね
第4章まででもなかりの疑問があるんですが、第5章の内容も微妙な感じです。
第5章は広告とか宣伝の話です。
こちらもしょぼい起業らしく、いかにお金を使わずに宣伝するかということが書かれていますが、実践するのは簡単ではありません。
「SNS(主にYouTube)で宣伝すれば良い」みたいなことが書かれているんですが、これって人気YouTuberになろうっていうのと同じですよね。
イケハヤ先生が「ブログで稼げばいいじゃん」って言っているのと同じレベルの話に感じます。
「結局、YouTubeでバズって有名にならないとダメなの?」って話ですよね。
「ブログでPVが増えれば稼げます」というのと何が違うの?
普通の人には到底不可能な内容じゃないでしょうか。
第6章でしょぼい喫茶店が成功例となっているけど…
しょぼい起業の成功例としてしょぼい喫茶店というのが書かれています。
でも、これについても疑問がある。
まずは再現性の問題。
結局、カイリュー木村さんという人に100万円出資してもらったから開業できたわけで、万人向けではないよね。
お金持ちの人の気まぐれで出資が決まったという印象しかない話です。
さらにいうと、この喫茶店の売り上げも成功といえるほどじゃないでしょう。
『しょぼい喫茶店の本』という本を読みましたが、開店した月は話題性で売り上げが55万くらいあったみたいですが、これがMAXで、その後は売上が下がっているみたいです。
店舗に住めばやっていけるのかもしれませんが、東京だったらバイトでもしていた方がマシでしょう。
しょぼい喫茶店の池田さんという方は結婚されているみたいですが、大丈夫なんでしょうか?
この池田さんという方は上智大学卒だそうです。
高望みをしなければ就職先なんていくらでもあったと思うんですよね。
そういう人にしょぼい起業を勧めてしまうなんて、ちょっとどうかなって思いますね。
少なくてもサラリーマンを数年やってから独立しても良かったんじゃないでしょうか。
別にえらてんさんが嫌いなわけじゃない
いろいろと厳しいことを書きましたが、えらてんさんが嫌いなわけじゃないです。
むしろ、好感を持ってYouTubeを見ています。
でも、しょぼい起業の内容がこれじゃね。
繰り返しになるけど、再現性にかなり疑問がある内容でした。
これだったらせどりでもやった方が勝率高いよ。