いろいろと社会問題になっているチケット転売ですが、いよいよ法律で禁止されるようですね。
2020年に東京オリンピックがあるので、このタイミングで何とかしようといった感じではないでしょうか。
もちろん、僕はチケット転売なんてやったことはありませんが、古物商としては今回の法規制は60%くらい賛成です。
ものの売買は自由にしてほしいというのが40%で、チケットは普通の商品とは少し性質が違うから規制されるべきというのが60%といった感じです。
超党派の議員連盟で法案を作成
自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などの議員さんが集まった『チケット高額転売問題対策議連』という議員連盟があって、その議員連盟が6/28に法案をまとめたようです。
週明けの7/1から議員立法として議論が始まるようですね。
チケットの転売は、駅などの公共の場では迷惑防止条例によって禁止されていましたが、今回の法案ではインターネットでの売買も禁止されることになるようです。
違反すると『1年以下の懲役か100万円以下の罰金』となるようです。
古物営業法違反だと最大で3年以下の懲役なので、古物営業法を違反するよりは少し軽いみたいです。
チケットという商品の特徴
チケットという商品は販売個数が決まっているという点で、他の商品と明確に異なります。
この違いがあるから、法規制は仕方がないと僕は考えるわけです。
人気のゲーム機とかCDなら、メーカーがたくさん生産すれば転売屋が損をするだけなので、法規制するまでもないと思いますが、チケットは座席数(枚数)が決まっているので、主催者側で増やすことはできません。
つまり、転売屋が転売目的で購入した枚数分は、一般の人に定価で流通させることができなくなります。
だからこそ転売屋は必死でチケットを買い占めるんでしょうけど、コンサートに行きたいファンの人からすれば迷惑な話ですよね。
まぁ、チケットという商品の特性を考えると、こうなっても仕方がないと思います。
ロビー活動の成果!?
今回の法規制と直接関係があるかどうかわかりませんが、有名なミュージシャン・アーティストの方々が以前からチケット転売の規制を訴えていたようです。
規制を訴えてきた方々として、宇崎竜童さん、夏木マリさん、May J.さん、Zeebraさんなどの名前が上がってます。
ミュージシャンだけでなく業界団体なども規制を訴えてきたようなので、音楽業界全体の要望だったのが今回の法規制だったとも考えられます。
経済活動の自由と転売の規制
僕はチケットについては、すでに説明した理由から、法律で規制することにある程度賛成です。
ただし、基本的には流通は自由であるべきだとも思っています。
経済を発展させるためには、自由な経済活動が必要だと思うし、実際の流通というのは結構複雑で、業界の意向で規制されるべきではないと考えているからです。
例えば、家電や玩具などの商品だと普通にバッタ屋さんという倒産品買取業者がいるし、そういう業者がいろんな小売業者に流していたりします。
メーカーからすれば、そういったバッタ屋さんは正規のルートで流通させないウザい業者かもしれないけど、バッタ屋さんが流通のバッファのような役割を果たしている可能性も否定できません。
それと同様に、チケット転売屋も何か意味がある可能性だってあるわけです。
チケット転売屋の目的は金でしょうけど、目的とは別に副産物としてのある種のメリットのようなものもあるかもしれません。
今回の法規制では、音楽業界の意向が大きく働いたように思えますが、いろんな視点からの深い議論をどこまでやっていたのかということは気になります。
チケット以外の商品は規制されるべきか
若干のポジショントークはありますが、チケット以外の商品の売買は規制されるべきではありません。
特に中古品業者って出版社とかメーカーからするとかなりウザいと思うので、今回の規制のように業界団体が議員に働きかけて…ってならないことを祈っています。
中古品は新品の市場を荒らすし、中古品が売れてもメーカーや出版社は儲かりませんから、心底嫌っていると思います。
加えて、二束三文で買い取ってその数十倍以上の値段で販売している僕のような買取業者は、一般に人からも不快に思われているかもしれません。
ブックオフが赤字という記事では、かなりの批判コメントが付きますからね。
買取業者はズルいことをしていると思っているんでしょうかね。
ただ、買取ってあんまり儲からないし、中古品って手間がかかるから、結構大変なんですよね。
それに、倒産品とかは中古業者が買い取っていたりするから、流通にも多少は貢献していると思います。
世の中は思った以上に複雑だし、中古品業者のようなゆるい存在がいた方が結果的に消費者にもメリットがあると思いますね。
だから、古本とか中古品が規制されるべきではないと僕は考えています。
冷静な議論が必要
チケット転売の法規制は仕方がないとしても、そのプロセスには少し疑問があります。
もう少し冷静な議論をして欲しかったなと思います。
ミュージシャンの人が訴えてしまうと、それによって世論が形成されてしまって、その世論に議員が乗っかているようにすら思えます。
チケット転売の規制を訴えるのなら、ミュージシャンの方々にはもう少し公共性のある主張をして欲しかったです。
規制を訴えるミュージシャンの方々の主張を記事で読むと、
- チケット転売はアーティストの活動を壊す
- 高額転売は不公正
- 無関係な人が儲けているのが嫌
- チケットが高いとグッズが売れなくなる
という感じになります。
参考:チケット高額転売「法規制を」 May J.さんら訴え
正直、あんまり公共的な意味を僕は感じることはできませんでした。
『チケット転売はアーティストの活動を壊す』と『チケットが高いとグッズが売れなくなる』っていうのはアーティストの都合だし、『高額転売は不公正』と『無関係な人が儲けているのが嫌』っていうのは感情的な意見じゃないですか。
別に僕はチケット転売規制に反対しているわけではないです。
ただ、もう少し広い視点からの意見というか理屈が欲しいなって思いましたね。
チケットの流通の仕組みや経済活動の自由といった観点から何か深い話を聞きたかったんですね。
もしかすると、業界の偉い人は議員にそういった話をしているのかもしれませんが、ミュージシャンが大衆の感情に訴えかけるというやり方が僕的にはアンフェアに感じます。
売買の自由を規制するわけだから、感情に訴えるのではなくて、冷静な議論に終始して欲しかったです。
もし、チケット以外の商品についても、今回のように有名人が訴えて世論を誘導するというプロセスで規制がかかったらと考えると、正直なところ僕は納得できないですね。
僕のような零細事業者の意見なんて議員には届かないでしょうけど、自由を規制する議論というのは慎重に冷静にやってほしいです。
2019年6月に チケット不正転売禁止法が施行されます
東京オリンピックを見据えて『 チケット不正転売禁止法』が2019年の6月から施行されるようです。
制限されるチケットには条件があります。
- 不正転売禁止が明記されている
- 事前登録や座席指定がされている
- 購入時に氏名や連絡先(電話番号など)を確認している
これらを満たしているチケットを繰り返し転売すると、違法行為と見なされる可能性があるみたいですね。
今更、チケット転売なんてリスクを考えればやる人はいないと思いますが、チケット転売は完全に違法になったということです。