会社員を辞めてせどりで独立したいという考えは悪いものではありません。雇われて生きるのが不向きな人はいるし、みんな同じように生きなければならないわけでもありません。
でも、すぐに安定した身分を捨ててせどりで独立するという考えは危険です。そのような無謀なことをしても、成功する可能性は低いでしょう。
せどりに限ったことではありませんが、ビジネスには準備が欠かせません。やりたいビジネスを自分なりに理解して、事前に何をすべきなのかを考えておかなければならないのです。
この記事では、新卒で入った会社を2年で辞めて古物商の世界に入った僕が、せどりで独立するための準備について解説していきます。
せどりで独立する前にやるべきこと
会社員という安定した身分でいられる間にやるべきことを紹介します。
- 古物商の取得
- 貯金
- クレジットカードの作成
- せどり用通帳の作成
- 仕入れ店舗の開拓
- バイク・車の購入
古物商の取得
せどりは中古品を扱うことになるので、古物商の許可が必要です。古物商取得の申請は警察の生活安全課でやってます。古物商取得について聞きたいことがあれば、まずは警察に電話して聞いてみるとよいでしょう。
「新品を扱うから古物商は必要ない」という人もいますが、これは間違いです。新品を扱う場合でも古物商は取っておいたほうが良いです。
例外として、新品のみを扱う店舗からのみ仕入れをする場合は、古物商は必要ないみたいです。しかし、せどりをやる場合は、中古品を仕入れないということはないので、古物商を取得しておくべきです。
古物商は申請に20,000円程度の費用がかかります。行政書士の人に申請をやってもらうこともできますが、この場合はさらに20,000円くらいかかります。
申請してから許可が下りるまで、最長で40日くらいかかると言われています。古物商は仕入れをする段階で必要なので、それまでに必ず取得しましょう。
貯金
せどりは仕入れにお金がかかります。自分が欲しい月収と利益率から必要な仕入れ資金は計算できるので、どのくらい貯金をしておけば仕入れに困らないかわかります。
例えば、利益率30%で月収30万を稼ぎたいとします。必要な売上は100万です。全てFBAで販売するとしてAmazonの手数料が25~30%程度かかります。また、ガソリン代や電車賃、ダンボール代や梱包材代、プリンタのインク代なども必要です。
そういったことを考慮して、仕入れに必要な資金を計算すると、次のような式になります。
仕入れ資金=売上ー利益ーAmazon手数料ー雑費(ガソリン代・交通費など)
この式を使って
- 売上:100万
- 利益:30万
- Amazon手数料:25~30万
- 雑費:1万
として計算すると、多くて44万、少なくて39万の仕入れ資金が必要です。仕入れを全て現金で行う必要はありませんが、店舗によってはクレジットカードが使えないところもあるので、ある程度の現金はあった方が良いでしょう。
目安としては、50万くらいは仕入れに使える現金があった方が安定します。
クレジットカードの作成
会社員という安定した身分の間にクレジットカードを2~3枚は作っておくと便利です。
クレジットカードは仕入れで使う機会が多くなります。現金を持ち歩いてもよいのですが、クレジットカードの方が楽なので、できれば持っていた方がよいです。
ただし、仕入れの全てをクレジットカードで支払うのは止めましょう。多くても仕入れ総額の半分くらいまでにしておいた方が無難です。
せどりは仕入れた商品が思ったように売れないこともあります。そんな時にクレジットカードの引き落としがきてしまうと大変です。なので、クレジットカードで仕入れをする場合は、常に引き落とし口座の残高を気にすることになります。
クレジットカードを作る場合ですが、セルフバックなどのアフィリエイトを活用すると、お金を稼ぎながらクレジットカードを作れます。1枚作ると5000~10000円くらいはキャッシュバックされるので、ASPに登録してセルフバックがないか探しましょう。
せどり用通帳の作成
クレジットカードと一緒にせどりで使う通帳も作っておきましょう。通帳は必須というわけではありませんが、せどりのお金の管理をする通帳があれば便利です。
通帳を作る場合の銀行についてですが、特に理由がなければ大手の銀行で作りましょう。大手は支店も多く、使い勝手が良いです。
仕入れ店舗の開拓
仕入れをするには古物商が必要ですが、店舗を開拓するだけなら古物商は必要ありません。
どこにどんなお店があるのか、どんな商品が売られているのか、せどりをするために知っておかなければならないことはたくさんあります。
最低でも県内の古本屋さんやリサイクルショップについては、大手や中小関係なく知っておくべきです。
独立する前にできることはやってしまって、少しでも有利な状況でせどりをスタートさせたいものです。
バイク・車の購入
仕入れにはバイクか車が必要です。家電などの大きな商品を仕入れるなら車で、本やメディア(CD/DVD/ブルーレイ)ならバイクでも大丈夫です。
車は商品をたくさん詰めて燃費が良いものを選びましょう。バイクは最初は原付きでも大丈夫ですが、慣れてきて仕入れ量が増えたら、大きめのバイクを買いましょう。
バイクや車を買う場合も会社員という安定した身分が威力を発揮します。バイクや車を持ってない人は、独立する前に必ず購入した方が良いでしょう。
副業でせどりをやるという選択肢
せどりで独立するためにすべきことを紹介しましたが、副業でせどりをやりつつ売上が増えたら独立する方が一般的です。
いきなり独立して失敗したら目も当てられません。結婚していたり子供がいるのなら、家族の理解を得ながらせどりを副業でやることをオススメします。
副業から本業にしたい場合は、会社員の給料の1.5倍の利益が上がるまで待った方が良いでしょう。独立すると自営業になりますが、自営業は社会保障が全て自己負担です。額面は稼いでいるように見えても、実際に残る金額は意外と少ないです。
自営業は会社員の給料の1.3倍稼いで対等だと言われています。ですが、自営業は不安定な身分なので、余裕を持つという意味も込めて1.5倍は稼げるようになってから独立した方が無難でしょう。
せどりの将来性
独立する時に考えなければならないのが、せどりの将来性です。せっかく独立して稼げたとしても、続かなければ意味はありません。
結論から言うと、「この先せどりというビジネスが大きくなることはないけど、なくなることもない」ということが言えると思います。
どうしてそんなことが言えるのかというと、それには2つの理由があります。
- せどりは昔からある
- 世の中から小売がなくなることはない
まず、せどりをいうビジネスは昔からあるものだということです。せどりとは『背取り』と書きます。インターネットがない時代から、本の背表紙を見て仕入れの判断をしていることで、せどりと呼ばれているのです。
つまり、せどりとはずっと続いてきたビジネスだということです。現在はAmazonを販路として販売するのが主流になっていますが、仮にAmazonがなくなっても別のECサイトで販売すれば問題ないでしょう。また、仕入れに関しても世の中から中古品がなくならない限り、仕入れができないということにはならないでしょう。
次に、世の中から小売がなくならない限り、せどりもなくならないと言えます。せどりは小売店から仕入れた商品を別の販路で売るビジネスですが、小売がなくなることは想像できません。
例えば、自分の住んでいる家の周りの小売店がなくなってしまうことは考えられるでしょうか。ネット通販の発展によって、小売店が苦しい状況になっていることは事実ですが、だからといって小売店がなくなることはありませんし、小売店が存在すれば、そこにはせどりのチャンスも存在します。
せどりを発展させよう
せどりはなくならないと思いますが、いつまでもせどりだけでやっていくのも考えものです。
せどりに対する世間の評価はあまり良くありませんし、転売ヤーのレッテルを貼られてしまうかもしれません。
なので、せどりである程度稼げるようになったなら、別のビジネスを模索すべきでしょう。ただし、せどりの経験が活かせないビジネスでは意味がありません。
せどりの経験が活かせるものとしては、古物市場から仕入れたり買取をしたりということが考えられます。
古物市場は参入が難しい場合がありますが、買取ならチラシを作成してポスティングするだけで始められます。
また、商社やメーカーと交渉して、商品を仕入れることも可能です。ただし、個人が交渉してOKを出してくれる商社やメーカーはそれなりのところが多いです。
Amazonで販売をしていると、そういった商社や卸会社から営業の電話がかかってくる場合もありますが、美味しい仕入れはできないでしょう。商社やメーカーから仕入れをするなら、法人化して信用を作りましょう。
まとめ:それでもせどりをしたい人へ
せどりは廃れないビジネスだとは思いますが、現状ではもっと利益が残るビジネスもあるし、今からせどりをやろうということはオススメしません。
「今まで散々、独立する前の準備」とか言っておいて何を言っているんだというと思いますが、本音です。こういう本音って、情報商材とかセミナーとかサロンをやっている人は言ってくれないんですね。
彼らはせどりで稼いでいるというよりも、「せどりは儲かる」といって情報商材を売って稼ぐことが目的だからです。
どうしてもせどりがやりたいというなら、まずは副業で1年くらいは頑張ってみて、それから独立するかを決めればよいと思います。
それでは、みなさんが幸せになれますうに。